空き家でなぜ火災が起こる?火災時の責任についても解説

空き家でなぜ火災が起こる?火災時の責任についても解説

近年、空き家の増加により、放置された住宅が引き起こす火災のリスクが社会問題として注目されています。
ひとたび火災が発生すれば、隣接する建物への延焼や通行人への被害など、大きな損害につながる可能性があります。
火災の原因や予防策を把握するとともに、万が一の際に問われる所有者の責任も理解しておく必要があるでしょう。
本記事では、空き家火災の主な原因や予防法、所有者が負うべき責任についてご紹介いたします。

空き家火災の原因の種類

空き家火災の原因の種類

空き家が火事になる原因は、主に「タバコのポイ捨て」「ガス漏れ」「放火」の3つであり、いずれも管理状態の悪さが引き金となります。
ご自身の資産と近隣の安全を守るためにも、どのような危険が潜んでいるのかを把握し、今日からできる防火対策を始めましょう。

原因①タバコ

タバコの火種は小さいものの、周囲に可燃物があれば瞬く間に燃え広がります。
空き家では不法侵入者の喫煙が多く、吸い殻が床材や紙くずに残されると着火点になりやすいです。
総務省消防庁令和6年統計では、タバコ起因火災は3,038件〈8.2%〉と報告されています。
近隣からのポイ捨ても危険で、枯れ草や落ち葉が積もった庭はとくに燃えやすい状態です。
冬季は、乾燥により延焼速度が上がるため、敷地の清掃や巡回回数を増やすことが望ましいです。
喫煙跡が見つかった場合は早急に警察へ相談し、防犯カメラの設置を検討しましょう。
火災予防条例により、公共の場所でのポイ捨ては罰則の対象になるため、近隣へ啓発チラシを配布する取り組みも効果的です。

原因②ガス

ガス設備は、使用していなくても劣化が進むため、油断できません。
元栓が開いたまま残っていたり、ゴム管の亀裂から微量漏洩が続くと室内にガスが滞留します。
火花が引火源となれば爆発的に燃焼し、周囲の建物にも甚大な被害を及ぼしかねません。
屋外設置のプロパンボンベは転倒やバルブ破損が起きやすく、盗難やいたずらの対象になることもあります。
配管は、地震や豪雨による地盤沈下で曲がり、見えない箇所で損傷している場合があります。
空き家を長期放置する場合は供給停止手続きを行い、メーターやボンベを取り外しておくと安全です。
封印後も年に一度は専門業者へ点検を依頼し、状態を記録しておくと安心です。
定期的に窓を開け換気を行う習慣をつければ、万一の微漏れでも濃度上昇を抑えられます。
点検の際は、石鹸水を塗布して泡の有無を確認する簡易検査も有効です。

原因③放火

統計上、放火・放火疑いは3,862件〈10.4%〉で最多要因です。
人目の少ない空き家は犯行場所として選ばれやすく、深夜帯は発見が遅れ被害が拡大しがちです。
雑草が生い茂りゴミが散乱した外観は「管理されていない家」と認識され、放火犯の標的になりやすいとされています。
所有者が雑草を刈り、外壁や門扉を補修し、防犯灯を設置しておくだけでも抑止力は高まるでしょう。
空家等対策特別措置法により管理が不十分な場合は、行政指導を受ける可能性があります。
密集地では、一軒の火が延焼して多数の世帯に被害を与えるため、地域への影響も考えて環境整備を行いましょう。
夜間の巡回を委託したり、近隣住民と連絡網をつくると早期発見につながります。

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空き家で火災が起きないための対策法

空き家で火災が起きないための対策法

空き家の火災を防ぐには、「きちんと管理」して放置されていると思わせないこと、次に燃えやすいものをなくし「防火対策」をすること、「ご近所と協力」することが大切です。
自分1人の力だけでなく、防犯グッズや地域の目も借りることで、遠くに住んでいても大切な資産と周辺の安全を守ることが可能になります。

対策①管理

日常管理の第一歩は、建物の現況確認です。
外壁のひび割れや屋根の破損は雨漏りを招き、内部の木材や配線を劣化させ火種を増やします。
新聞やチラシの放置は、「空き家」と周囲に認識させるサインとなるため、ポストは定期的に空にしてください。
可燃物の処分と施錠の徹底により、不法侵入と火気使用を同時に抑止できます。
遠方在住で自ら通えない場合は、月1回程度の巡回を行う専門業者を契約すると管理状況を写真で確認できます。
業者選定時には、報告頻度と緊急時対応の範囲を必ずチェックしましょう。

対策②対策

防火対策では、可燃物の排除と電気・ガスの遮断が基本です。
庭に置かれた木材や古タイヤは着火後に火勢を強めるため、撤去もしくは屋内保管が必要です。
室内の不要家電を外し、ブレーカーを落としておくと漏電火災を防げます。
ガス配管を残す場合でも元栓を閉じ、接続部のキャップを施錠可能なケースで保護してください。
防犯灯、センサーライト、人感カメラを組み合わせると夜間の侵入を大幅に減少させられます。
近年は、LTE通信で遠隔確認できる機器も普及し、スマートフォンから状況を把握できる点で有効です。
機器導入費用は数万円程度から選べ、税制優遇や自治体補助金が利用できる場合があります。
設置後は、電源や電池寿命を半年ごとに確認し、故障時には即時交換してください。

対策③地域連携

自治体主催の防災訓練へ参加すると、所有者自身の消火・避難技術が向上します。
空き家バンクや見守り制度に登録すれば、地域の巡回員が定期的に状況を報告してくれます。
近隣住民と日頃から挨拶を交わし、緊急時に連絡しやすい関係を築くことが早期発見の鍵です。
延焼リスクが高い密集地では、隣家の敷地境界に可燃物を置かないなど、相互配慮が地域の安全を守ります。
所有者が連携の窓口となり、情報共有を円滑にすることで、火災だけでなく倒壊などの二次被害も防ぎやすいです。
一部の自治体では、草刈りや害獣防除ボランティアの派遣を無償で受けられる制度もあり、費用面の負担を軽減できるでしょう。

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空き家で火災が起きた時の持ち主の責任

空き家で火災が起きた時の持ち主の責任

空き家が火事になっても、基本的には隣の家への賠償責任はありませんが、「管理をひどく怠っていた」と判断されると、高額な損害賠償を請求される可能性があります。
「自分の家だから」と管理を怠ることが、将来大きな負債につながるリスクがあるため、どのような行動が「重過失」と見なされるのかを知っておきましょう。

重過失

失火責任法は、軽過失の失火について賠償責任を限定していますが、重過失と認定されれば免れません。
重過失とは、通常人なら容易に気付く危険を放置するほど、著しい注意欠如を指します。
老朽配線を放置し延焼させた裁判例では、近隣住宅の修復費や休業損害まで賠償命令が下されました。
管理日誌を作成し、点検結果と対応を記録しておくと、注意義務を果たした証拠になります。
また、補償額に備えて火災保険や個人賠償責任保険に加入しておくと、自己負担を抑えられます。
近年は、AIを活用した火災監視サービスも登場し、月額数千円で24時間モニタリングが可能です。
こうした外部サービスを活用することで、注意義務を補完しつつ負担を平準化できます。

放火

放火は第三者の故意によるものですが、管理状況が不適切なら過失責任が問われる余地があります。
出入口を開放し、ゴミを放置した結果犯行を誘発したとみなされれば、所有者が一定割合を負担する判例も多いです。
反対に、施錠や監視カメラなど合理的措置を講じていた場合は、賠償責任が限定または否定される傾向にあります。
いずれにせよ、延焼被害を受けた住民は損害賠償請求を起こすことができるため、予防策を積極的に実行する意義は大きいです。
都市部では賠償額が高額化するため、自己資産と保険のバランスを確認し、必要に応じて補償額を見直してください。
行政と連携し、地域安全マップへの登録を行えば、警ら強化の対象となり抑止力が高まるでしょう。

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まとめ

空き家火災は、老朽化や不審火など予期せぬ原因で起こりやすく、放置すると重大な被害を招くおそれがあります。
普段から定期的な点検や管理を行い、防火対策を講じることで、火災のリスクを大きく下げることが可能です。
火災発生時には所有者責任が問われるため、義務を理解し安全に空き家を維持する姿勢が重要です。

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