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宅建業者とは何か知っていますか?要件や必要な手続きも紹介

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高井 瑞樹

筆者 高井 瑞樹

前職の金融機関では、消費者ローン・事業性融資を主とする融資係として金融知識を深めてまいりました。元銀行員としての知識を生かし、金融業界からの目線も併せてご提案させていただきます。
不動産業界としては1年生ではありますが、知識を深めつつ誠心誠意努めてまいります!


宅建業者とはどのような業者か

「宅建業者」とは、宅地または建物について、売買・交換や、他者のそれらの取引の代理・媒介を「業として」行う者を指します。すなわち、不特定多数を相手にし、反復・継続して取引を行うことが前提です 。

宅建業免許が必要となるのは、社会通念上「事業の遂行」と見なされる程度の反復継続性がある取り引きを行う場合です。これは宅建業法に基づく重要な要件であり、たとえば自らの所有物件の単発的な売却や賃貸などには免許は不要です 。

免許取得の意義は、不動産取引における消費者の保護と市場の適正性の確保にあります。宅建業法という法律によって、取引の透明性や安全性、不正防止を目的として業者に免許制度が設けられており、事前の審査や規制を通じて取引の信頼性を高めています 。

ただし、以下のようなケースでは宅建業免許は不要です:

適用外のケース説明
自己所有物件の単発売買自ら所有する土地や建物を一度だけ売却する場合
自己所有物件の賃貸自分の物件を貸す「大家業」のみを行う場合
国・地方公共団体等公的機関による不動産取引

これらの行為は宅建業に該当せず、免許取得は不要です 。

宅建業者になるために満たすべき要件

宅建業者(宅地建物取引業者)として免許を取得するには、以下のような法的に定められた要件を満たす必要があります。これらは欠格要件、事務所・資力要件、専任取引士の設置義務に分類されます。

要件の分類 主な内容
欠格要件 成年被後見人・被保佐人、破産者で復権前、宅建業法違反等により罰金または取消処分を受け、5年を経過していない者、暴力団関係者などには免許不可の要件あり
事務所・資力要件 事務所は独立性・業務性を備えた形態であること。資力では営業保証金の供託(本店1,000万/支店500万)または保証協会加入による弁済業務保証金(本店60万/支店30万)が必要
専任宅地建物取引士の設置 事務所ごとに、業務に従事する者5人につき1名以上の専任(常勤・専従)宅建士を配置する義務あり

まず、欠格要件については、成年被後見人や被保佐人、破産手続き中で復権していない者などは免許を取得できません。また、宅地建物取引業法違反や業務停止命令への違反により免許取消となり、取消日から5年以内の者、禁錮または罰金刑を受け執行後5年を経過していない者、暴力団関係者にも同様の制限があります。

次に資力要件としては、営業保証金の供託(本店1,000万円、支店500万円)または保証協会加入による弁済業務保証金(本店60万円、支店30万円)が必要となります。

最後に、専任の宅地建物取引士の設置義務についてです。各事務所ごとに、「業務に従事する者」5人につき1名以上の専任の宅建士を配置しなければなりません。専任とは「常勤性」と「専従性」を満たす必要があり、常勤で宅建業務に専ら従事することが求められます。なお、専任取引士が不足した場合には、2週間以内に補充する措置を講じなければなりません。



宅建業者に必要な手続きの流れ

宅建業者として開業するには、免許取得後に法令で定められた重要な手続きを順序よく進める必要があります。以下ではその流れを、わかりやすく整理しています。

ステップ 概要 主なポイント
1. 必要書類の準備 申請書・略歴書・資力証明・事務所図面など 正確な記載と証明書類の漏れなく準備します
2. 免許申請から許可取得 申請後、審査を経て免許交付 申請先は都道府県知事または国土交通大臣となります
3. 営業保証金の供託または保証協会加入 供託金1,000万円(本店)、支店ごとに500万円、または保証協会への加入 資金状況に応じて選択。保証協会は弁済業務保証金による代替が可能です
4. 届出を経て営業開始 供託済届出書または弁済業務保証金届出書を提出 免許取得後、営業開始前に必ず3か月以内の届出が必要です

以下、各ステップの詳細な解説です。

1. 免許申請に必要な主な書類

宅建業免許の申請には、以下の書類が必要です。

  • 宅地建物取引業免許申請書
  • 営業所の平面図・周辺図などを含む事務所関係資料
  • 役員や申請者の略歴書
  • 資力証明書(預金残高証明など)

また、事務所要件や専任の取引士設置義務などの要件を満たす内容の資料も必要です。

2. 申請から許可取得までの流れ

申請を行った後、都道府県知事(または国土交通大臣)の審査を経て、免許が交付されます。申請から許可取得までの期間は自治体によって異なりますが、数週間から数ヶ月を要します。

3. 営業保証金の供託または保証協会への加入

免許取得後、宅建業を開始するためには「営業保証金の供託」または「保証協会への加入」のいずれかの手続きが必要です。

営業保証金を供託する場合、本店は1,000万円、支店は1箇所あたり500万円を法務局に供託します。有価証券(国債や地方債など)による供託も可能です。

一方、保証協会へ加入する場合は、弁済業務保証金分担金として本店60万円、支店30万円を納付します。入会金や年会費が別途発生しますが、初期負担を抑えられます。

4. 届出後に営業開始

供託を行った場合は「営業保証金供託済届出書」と供託書の写しを、保証協会加入の場合は「弁済業務保証金届出書」を、免許行政庁に提出します。

この届出は、免許取得後3か月以内に行わなければなりません。期限を過ぎると催告を受け、1か月以内に届出がない場合は免許取消となる可能性があります。

以上の手順を確実に進めることで、法令に則った営業開始が可能になります。信頼の土台づくりとして非常に重要なステップです。

宅建業者としての運営上の注意点と継続要件

宅建業の運営を安定的に続けるためには、いくつかの法定の届出義務や更新手続きに正確に対応することが不可欠です。

以下の表は、特に注意すべき変更事項とその届出期限をまとめたものです。

変更事項届出期限留意事項
専任取引士の変更30日以内(変更日から)速やかな補充と届出が法定義務です。
事務所・代表者等の変更30日以内主・従事務所の所在地や構成員の変更も含まれます。
免許更新免許満了日の90日前~30日前この期間外の申請は受理されず、業務が停止する恐れがあります。

まず、専任の宅地建物取引士が退職や異動で不在となった場合、事業所ごとに定められた配置基準を満たすことが法律で義務付けられています。万が一欠員が発生した場合には、30日以内に新たな専任取引士を選任し、30日以内に所轄行政庁へ変更届を提出しなければなりません。この対応が遅れると行政処分や免許取消しのリスクがあります。

次に、事務所の所在地・代表者・役員・専任取引士の氏名などに変更があった場合も、免許を受けている行政機関に対して30日以内の変更届出が求められます。届出を怠ると、更新時に申請が受理されないケースもあるため、日頃から変更状況を整理しておくことが重要です。

また、宅建業免許そのものの更新については、有効期間である5年の満了日の90~30日前に申請することが義務です。この期間を過ぎると免許が失効し、無免許営業となり法律違反となってしまいます。なお、申請を満了日の30日前までに行えば、審査中に有効期間が切れても業務は継続可能で、新たな免許の有効期間は旧免許の満了日の翌日から開始されます。

最後に、定期的に組織変更やスタッフの異動、事務所移転などの可能性がある業務体制であれば、これらの変更に関する法令遵守を常時確認し、対応策を社内で明確に定めておくことが、免許維持と信頼確保の要となります。

まとめ

宅建業者になるためには、法律で定められた手続きを順守し、厳格な要件を満たすことが必要です。宅地や建物の取引は社会的責任が大きく、免許制度によって消費者保護が図られています。欠格要件や事務所、専任の取引士の設置など、多岐にわたるポイントをクリアすることで初めて営業が可能となります。免許取得後も法令遵守や定期的な更新手続きが必要となるため、日頃から注意し、確実な運営を心がけましょう。


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