エアコンの効率を最大化~空調配管工事成功のポイント~
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暑さが和らぎ、少しづつ肌寒さを感じるようになってきました。冬本番に備えエアコンのメンテナンスや点検をしておくと次の夏も安心です。特に、エアコンの効き目や寿命に影響を与える空調配管工事は、この時期に見直しておくと大きなトラブルを防ぐことができます。
この記事では、空調配管工事の重要性と、工事を行う際のポイントについて詳しく解説していきます。
Ⅰ.空調配管工事とは
-空調配管工事とはどのようなものか
エアコンや冷暖房システムにおいて、冷媒や空気を効率的に移動させるために必要な配管の設置や施工を指します。
この工事は、エアコンの性能や寿命に大きく影響する重要な工程です。
-配管の役割とは
配管が担う役割は大きく分けて3つあります。一つ目は『冷媒の循環』です。エアコンの冷媒配管は室内機と室外機を繋ぎ、冷媒を循環させるために必要です。冷媒は室内で熱を吸収し室外で放出することで、室内を冷却または暖房します。二つ目は『ドレンの排水』です。エアコンの室内機では、冷却によって結露水が発生します。この結露水を安全に排出するためのもので、適切に設置されていないと室内に水が溜まりカビや湿気の原因となります。三つめは『圧力と空気の流れの調整』です。配管は冷媒が適切な圧力で流れるように設計されています。適切な圧力を維持することで、エアコンが効率的に機能し冷却や暖房の性能が向上します。また、空調システム内での空気の流れを制御するために、配管の設置や設計が重要になります。
Ⅱ.配管工事のプロセス
-設計段階
実際に工事に取り掛かる前の設計段階で、事前に決めておくべき事項があります。特に重要とされるのが『システムの選定』『配管ルートの設計』『負荷計算』です。システムの選定とは、空間の広さ・使用目的・電源を考慮し、壁掛け・天井埋込型・マルチエアコンのいずれかを選定することです。室内機と室外機を繋ぐ配管ルートは、配管の長さや角度、接続部分の位置を考慮し冷媒の流れをスムーズになるように設計する必要があります。また、建物の断熱性や使用人数、設備などを考慮し必要な冷暖負荷を計算します。これによりエアコンのサイズや能力を決定します。
-材料の選択
一般的に配管材料には耐久性があり腐食に強い銅管が使用されます。必要に応じてアルミ管や樹脂管を選択することもあります。配管に巻き付ける断熱材は、エネルギー効率を高めるために必要になってきます。適切な厚さと素材を選ぶことで熱の損失を最小限に抑えます。
-実際の施工の流れ
❶現場確認
設計図を基に配管ルートや機器の配置を確認します。特にエアコンの室内機と室外機の位置関係をチェックします。必要な資材を搬入し、作業スペースを整理します。安全対策として、必要な保護具や表示を準備します。
❷配管の取り付け
設計づに基づき冷媒配管とドレン配管の最適なルートを選定します。冷媒配管を適切な長さに測定し、パイプカッターで切断します。切断面を平滑に仕上げたら、ジョイントやバルブなどの接続部品を選定し、配管の接続を行います。ハンダ付けまたはクランプでしっかりと固定します。
❸電気配線の施工
エアコンの電源の取り出しや配線の位置を決定し、施工に必要な電源配線ルートを考えます。室内機と室外機を繋ぐために電源ケーブルを取り付け、ブレーカーへの接続も行います。
❹断熱材の取り付け
冷媒配管用の断熱材を選定し適切な厚さでカットします。テープやバンドを使用し、カットした断熱材を冷媒配管にしっかりと巻き付けます。
❺冷媒の充填
室内機と室外機を正しく接続し、冷媒配管は完了です。真空ポンプを使用しシステム内の空気や湿気を取り除きます。完全に真空状態にした後、冷媒を充填します。規定の冷媒を充填したら圧力計で適切な圧力を確認します。
❻試運転と検査
エアコンの電源を入れ、冷暖房機能が正常に動作するかを確認します。電気工事士が電源が正しく接続されているか、電圧が適正であるかをチェックします。さらに、冷媒漏れがないか検査器を使用して確認します。万が一漏れがあった場合直ちに修正します。
Ⅲ.工事の注意点やトラブルシューティング
-よく発生する問題やトラブルと対処法
❶冷媒漏れ
原因:接続部分の不良やパイプの劣化
対処法:漏れ箇所を特定し、接続部を再確認または交換します。自己修理が難しい場合は専門業者に依頼。
❷異音
原因:配管の振動や冷媒の流れる音
対処法:異音の発生源を調査し、緩んだ部品を締め直す、または必要に応じて部品を交換する。
❸ドレン水の逆流
原因:ドレン配管の詰まりや傾きの不良
対処法:ドレン配管を点検し、詰まりを取り除くとともに、適切な傾斜が保たれているか確認する。
❹温度の偏り
原因:配管の長さや断熱不良、風量の不足
対処法:配管の長さや断熱材の状態を見直し、風向を調整します。必要に応じて専門業者に相談する。
-配管の適切な取り扱い方法とメンテナンス方法
○定期点検
冷媒配管やドレン配管を定期的に点検し、目視や漏れ検査を行います。特に接続部分の状態を重点的に確認し、異常があれば早期に対処します。
○清掃
ドレン配管内の汚れや詰まりを定期的に取り除きます。シーズンの変わり目に行うことで、逆流のリスクを減らします。
○断熱材の確認
断熱材の劣化や剥がれを定期的にチェックします。劣化が見られた場合はすぐに交換し、熱損失を防ぎます。
○冷媒のチェック
冷媒量が適切かどうか定期的に確認します。不足している場合は冷媒を補充し、エアコンの効率を維持します。
○フィルター掃除
室内機のフィルターを定期的に清掃します。フィルターが詰まると風量が減少し効率が悪化するため、最低でも月に1回の清掃が推奨されます。
これらの注意点やメンテナンス方法を理解し、実践することで、空調配管工事後のトラブルを未然に防ぎ、快適な室内環境を保つことが可能になります。
Ⅳ.空調配管工事の費用や期間
-費用の目安
≪一般的な費用≫
・小規模住宅:約10万~30万円
・中規模住宅(複数台設置推定):約30万~60万円
・大規模商業施設:数十万~100万円以上
≪主な費用の内訳≫
・材料費:冷媒配管、ドレン配管、断熱材、接続部品などの材料費
・施工費:施工業者の人件費や機器の使用料
・設計費:設計図作成や現場調査にかかる費用
-工事にかかる所要期間
・小規模な工事:1日~2日
・中規模な工事:3日~1週間
・大規模な工事:1週間以上
-価格や期間が変動する要因
・工事の規模:設置するエアコン台数や配管の長さ、配管ルートの複雑さが影響
・使用する材料:使用する配管材や断熱材の種類
・施工業者の選定:施工業者によって料金体系やサービスが異なるため、複数の業者から見積もりを取ることが重要
・現場の状況:建物の構造やアクセスのしやすさによって施工の難易度が変動。高所や狭所は工期が延びる可能性があります
・季節要因:夏や冬などのピークシーズンは需要が高まり、工事費用が上昇することがあります
▣ 実際の施工例 ▣
弊社で管理する築39年のこちらの物件の洋室には、もともとエアコンを設置するための配管設備がありませんでした。
昔と比べ気温変動が激しくなった現代の気候に合わせ、空調配管工事を行いました。
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Ⅴ.まとめ
空調配管工事は、快適な室内環境を維持するための重要なプロセスです。このブログでは、空調配管工事の基本的な概要から施工の流れ、注意点、トラブルシューティング、さらには費用や期間について詳しく解説しました。
まずは、空調配管工事の目的と配管の役割を理解し、適切な材料や施工方法を選択することが大切です。また、施工後のメンテナンスや定期点検を行うことで、トラブルを未然に防ぎ長期にわたって快適な空調環境を保つことができます。
さらに、費用や工事にかかる期間についても明確にすることで、予算やスケジュールを計画的に設定できるようになります。使用する材料や施工業者の選定、現場の状況などが価格や期間に影響を与えるため、事前に調査し比較検討を行うことが重要です。
これからの季節に向けて、安心して快適な空間を手に入れるためにぜひ参考にしてみてください。
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