次世代住宅って?~スマートハウス編~
目次
1. 次世代住宅とは?
エネルギー効率・環境負荷の軽減・スマートテクノロジー・災害対策・快適性向上 を重視した新しい住宅のことです。特に、省エネルギー・スマート化・環境負荷の軽減・快適性向上 などがキーワードとなります。地球環境問題や人口増加、都市部の過密化などの課題に対応するため、世界中で研究・開発が進められています。
スマートハウス、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)、サステナブル住宅(環境配慮型住宅)、モジュール住宅・3Dプリント住宅、フレキシブル住宅(可変型住宅)、宇宙・水上・地下住宅(未来の住まい)と様々ございますが今回はスマートハウスについてご紹介します♪
2.スマートハウスの特徴
IoTやAIを活用し、住宅をスマート化する未来の暮らしを支える最新住宅のことで4つの特徴があります。
① IoT・AIを活用
家電や設備がネットワークで連携しており、AIが住人の行動パターンを学習し、最適な環境を自動調整や、 スマホや音声で遠隔操作(外出先からエアコンや照明をオン・オフ)ができる住宅です。
スマートハウスでは、IoT技術を活用して家電を連携・自動制御できます。
例えば、スマートフォンや音声アシスタントを使って、外出先からでも家電を操作できます。
<主要なスマート家電>
② エネルギーマネジメント(省エネ)
HEMS(Home Energy Management System) で電力使用量をリアルタイムに管理ができます。 太陽光発電+蓄電池 で自家発電・電力の最適化も可能です。
スマート家電(省エネエアコン・自動調整照明など)が電力消費を抑え、住宅内のエネルギー(電気・ガス・水道など)を一元管理できるシステムです。リアルタイムでエネルギー使用量を可視化し、節電や自動制御が可能です。
スマートハウスの多くは*ZEH基準を満たし、太陽光発電・蓄電池・高断熱設計を活用して、エネルギーコストを削減しています。
*ZEH(Zero Energy House)は、消費するエネルギーよりも自家発電するエネルギーが上回る住宅を指します。
③ 高度なセキュリティ
顔認証・指紋認証・スマートロック で家の鍵を管理します。 防犯カメラやセンサーがAIと連携し、不審者を検知して通知する機能を備えています。
遠隔監視 で外出先から家の様子をチェックも可能です。 最新のセキュリティ技術を活用して、安全性を向上させています。
<主要なスマートセキュリティ機能>
④ 快適性の向上
スマートエアコンが温度や湿度を自動調整。
スマートミラーで天気やスケジュールを表示。
自動カーテンで朝日とともに開閉などライフスタイルに合わせた自動化が可能です。
(自動化の例 )
朝:カーテンが自動で開き、コーヒーメーカーが稼働
夜:エアコンが最適な温度に調整され、間接照明が点灯
外出時:スマホ操作で家全体の電源をオフ&鍵を自動施錠
帰宅時:GPSと連携して玄関の鍵が自動解錠、照明ON
「シアターモード」「リラックスモード」など、ワンタップで最適な空間を演出する機能もあります。
高齢化が進む日本では、スマートハウスが高齢者や子供の安全・健康管理にも貢献しています。
(高齢者向け機能)
見守りセンサー:異常な動きを検知し、家族に通知
音声操作:ボタンを押さずに家電をコントロール
健康管理:体温・血圧を測定し、異常時にアラート
転倒検知:カメラやAIが異常を感知し、自動通報
(子供向け機能)
スマートロック:子供が鍵を持たずに帰宅できる
遠隔監視カメラ:外出先から子供の様子を確認
時間制限付きWi-Fi:学習時間中はネットを制限
<スマートハウスの普及状況>
国や地域によって大きく異なります。世界全体では、2023年時点で約16%の世帯がスマートホームデバイスを利用しており、イギリス、アメリカ、韓国などのデジタル先進国では普及率が40%を超えています。
一方、日本における普及率は他国と比較して低く、2020年時点でスマート家電の所有率は9.3%と報告されています。
また、2022年の調査では、スマートハウスデバイスの利用率が最も高い掃除機でも4.7%とされています。
このように、日本ではスマートホームに対する認知度は高いものの、実際の導入率は低い状況です。
普及の遅れの要因として、コスト面や必要性の認識不足などが考えられます。
しかし、スマートハウス市場は今後も成長が予測されており、2028年までに世界の3分の1以上の世帯がスマートハウスデバイスを所有すると見込まれています。 日本においても、エネルギー効率の向上や高齢化社会への対応といった観点から、需要が高まる可能性はあります。
3.スマートハウスを支える主要技術
6つの主要技術をご紹介します
①IoT(Internet of Things、モノのインターネット)
あらゆるモノがインターネットに接続され、情報を送受信する技術 のことです。
家電、車、工場設備、医療機器などがネットにつながり、遠隔操作やデータ分析が可能になります。モノが自律的に動作し、遠隔操作や自動化が可能になります。
IoTは 「デバイス」「センサー」「ネットワーク」「クラウド」「AI」 の5つの要素で構成されます。
<IoTの仕組み(データの流れ)>
どのように機能するのか、具体的な流れを説明します。
例:IoTスマートエアコンの動作
(1)センサーが部屋の温度を測定(例:28℃)
(2)ネットワーク(Wi-Fi・5G)を通じてクラウドにデータ送信
(3)クラウドとAIが「適温は25℃」と判断
(4)エアコンに信号を送信し、冷房を自動調整
(5)スマホアプリで遠隔操作も可能
センサー・ネットワーク・クラウド・AIを組み合わせて自動制御を行います。
② AI(人工知能)
家電の動作を最適化したり、住人の行動を学習して自動調整する技術です。
人の行動を学習し、自動で最適な環境を提供
音声操作で家電を簡単にコントロール
③HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)
家庭の電気・ガス・水道などのエネルギーを可視化し、効率的で最適に管理するシステム です。
IoT技術を活用し、エネルギーの無駄を削減しながら、快適でエコな生活を実現します。
(HEMSの基本機能)
<HEMSの仕組み(データの流れ)>
(1)スマートメーターが電気使用量をリアルタイムで測定
(2)HEMSコントローラーがデータを収集し、分析
(3)スマート家電や蓄電池に最適な指示を出し、電力を調整
(4)スマホやタブレットでエネルギーの状況を確認・操作可能
(HEMSの活用例)
(1)電気代の節約
電力ピーク時にエアコンの消費電力を自動調整し、電気代の節約になります。
使いすぎをアラート通知によって家族全員が節電を意識できます。
(2)太陽光発電・蓄電池との連携
昼間の太陽光発電を夜間に活用し、電力会社からの購入を削減することができ
余った電力を電力会社に売電し、収益を得ることもできます。
(3)スマート家電との連携
外出先からスマホでエアコン操作(帰宅前に部屋を快適に)やカーテンの自動開閉(日光を利用して部屋を温める)
(4)災害時の電力管理
停電時に蓄電池の電力を優先的に冷蔵庫や照明に供給し、電力消費を最小限に制御、長時間の電力確保が可能になります。
④スマートセキュリティ技術
スマートハウスでは、防犯対策として高度なセキュリティ技術が導入されています。
(スマートセキュリティの例)
スマートロック:指紋認証・スマホ解錠・リモート施錠
監視カメラ(AI搭載):顔認識&不審者検知
スマートインターホン:外出先から訪問者の対応
◎メリット◎
遠隔監視&操作ができるため防犯性が向上
顔認識で家族以外の侵入を防止
⑤太陽光発電 & 蓄電池(再生可能エネルギー)
スマートハウスは、エネルギーの自給自足を目指し、太陽光発電や蓄電池を活用します。
(活用例)
太陽光発電:昼間に発電し、家庭内の電力を供給
蓄電池:夜間や停電時に備えて電気を貯める
V2H(Vehicle to Home):電気自動車の電力を家庭で利用
◎メリット◎
電気代を削減(余った電力を売電できる)
停電時のバックアップ電源として利用可能
⑥5G通信技術
スマートハウスでは、5Gの超高速通信を活用し、よりスムーズなIoT家電の操作やリアルタイムデータ通信を実現します。
(5Gの活用例)
スマート家電の超高速制御:遅延なしでスムーズに動作
AIカメラのリアルタイム監視:高画質映像を即座に送信
遠隔操作のレスポンス向上:家電の応答速度が向上
◎メリット◎
IoT機器の遅延をなくし、快適な操作を実現
AIカメラの防犯性能が向上
4.メリットとデメリット
◎メリット◎
①エネルギーの節約とコスト削減
HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)を活用し、エネルギー消費を最適化!
HEMS + ZEHを導入すると、年間の光熱費を約50~80%削減できると言われています!
②生活の快適性向上
スマホや音声アシスタントで、家中の家電を簡単操作!
(家電例)
スマートスピーカー(Alexa・Google Assistant)と連携すれば、「アレクサ、エアコンつけて!」で操作完了です!
③防犯性能の向上(スマートセキュリティ)
スマートハウスは最新のセキュリティ機能を備え、家族の安全を守ります!
(機能例)
遠隔監視機能を活用すれば、旅行中でも自宅の安全を確認できます!
④高齢者・子供に優しいサポート(スマートケア)
見守り機能や健康管理機能で、家族の安全をサポート!
(機能例)
高齢者や子供が一人でも安心して過ごせる環境を実現できます!
⑤災害時のリスク低減(防災機能)
スマートハウスなら、停電や災害時にも安心!
(機能例)
停電時でも「太陽光発電 + 蓄電池」があれば電気が使えるので安心です!
⑥スマートハウスは資産価値が高い
スマートハウスは将来的な資産価値が高い住宅とされています。
ZEH基準の住宅は補助金対象になることも!
エネルギー効率の良い家は売却時に評価が高い!
スマート設備が整った家は賃貸市場でも人気!
環境意識の高まりから、エコ&省エネ住宅の価値は今後さらに上昇!
⑦ 家事負担の軽減(スマートオートメーション)
家事を自動化し、時短&ストレスフリーな生活を実現!
(機能例)
毎日の家事を自動化し、自由な時間を増やせます!
×デメリット×
①初期費用が高い(導入コスト)
スマートハウスを導入するには、通常の住宅よりも設備コストが高くなる傾向があります。
(費用の目安)
(対策)
◇補助金制度を活用すれば、導入コストを抑えられる場合も!
②インターネット障害に弱い
スマートハウスはIoT(インターネットを活用した家電)に依存しているため、Wi-Fiやインターネット接続が不安定になると、家電が正常
に動作しないことがあります。
(リスク具体例)
(対策)
◇有線接続できる機器はLANケーブルを活用!
◇蓄電池を導入すれば、停電時も電力を確保!
③ハッキングやセキュリティリスク
スマートハウスはインターネットに接続されているため、サイバー攻撃やハッキングのリスクがあります。
(リスク具体例)
(対策)
◇強力なパスワード設定(1234などはNG)
◇二段階認証(スマホ認証を追加)
◇定期的なファームウェアアップデート
④設備の維持・メンテナンスが必要
スマートハウスには多くの電子機器やシステムが組み込まれているため、定期的なメンテナンスが必要です。
(メンテナンスの必要性)
(対策)
◇長期保証のあるメーカーを選ぶ
◇定期的に点検&アップデートを実施
⑤操作が複雑で慣れるまで時間がかかる
スマート家電やHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)などは設定や操作が複雑な場合があり、特にITに不慣れな人にはハードルが高いことがあります。
(問題点)
スマート家電の操作が難しい (アプリを使いこなせない人には不向き)
設定ミスのリスク(設定を誤ると、うまく作動しない)
タッチパネルやスマホ操作が苦手な人には使いづらい
(対策)
◇シンプルな操作ができるスマート家電を選ぶ
◇音声操作(Alexa・Googleアシスタント)を活用
◇家族やサポートサービスを活用し、設定をサポート
⑥すべての家電をスマート化するのは難しい
スマートハウスには対応していない家電や設備があり、完全なスマート化は難しい場合があります。
(問題点)
(対策)
◇スマートプラグを活用(通常の家電を遠隔操作可能に)
◇統一規格(Matterなど)対応の家電を選ぶ
5.まとめ
スマートハウスの未来と進化
(1)住宅AIの高度化
AIが住人の健康状態を分析し、生活リズムをサポート。
自動で食事のメニューを提案し、スマートキッチンと連携。
(2)エネルギーの完全自給自足
太陽光発電+風力発電+蓄電池でエネルギー完全自給。
HEMSが最適な電力使用を自動調整。
(3)災害対応能力の向上
地震・台風を検知し、自動で窓シャッターを閉める。
災害時には自動で電力供給を切り替え、避難ルートを提示。
(4)自動運転車との連携
自宅と連携し、家のガレージに自動駐車。
外出時、車が自動で玄関前まで迎えに来る。
IoT・AIで暮らしがさらに便利に、HEMSと再生可能エネルギーで省エネ化、防犯・災害対策も強化されスマートデバイスの進化で未来の住まいが実現されていくことでしょう。住宅において、不便という言葉がなくなる未来が到来するかもしれません。
スマートハウスは、これからの「次世代住宅のスタンダード」 になりつつあります。今後も技術革新が進み、さらに快適でエコな住宅が登場することを期待しています。