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建物賃貸借と定期建物賃貸借の違いは? 不動産営業が分かりやすく解説

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高井 瑞樹

筆者 高井 瑞樹

前職の金融機関では、消費者ローン・事業性融資を主とする融資係として金融知識を深めてまいりました。元銀行員としての知識を生かし、金融業界からの目線も併せてご提案させていただきます。
不動産業界としては1年生ではありますが、知識を深めつつ誠心誠意努めてまいります!

同じ「建物賃貸借契約」でも、いわゆる普通借家契約と「定期建物賃貸借契約」では、仕組みも権利関係も大きく異なります。更新の有無や契約期間、中途解約のルールなどをきちんと理解していないと、「こんなはずではなかった」というトラブルにつながりかねません。
そこで本記事では、「建物賃貸借」「定期建物賃貸借」の基本から、更新・解約・原状回復までをわかりやすく整理し、それぞれの賃貸契約の違いを丁寧に解説します。
居住用か事業用か、短期利用か長期利用かなど、あなたのライフプランや利用目的に合わせて、どちらの契約形態が向いているのかを判断するヒントもご紹介します。

建物賃貸借契約と定期建物賃貸借の基礎

まず、一般的な建物賃貸借契約は、いわゆる普通借家契約と呼ばれる形態が中心です。
この契約は民法の賃貸借に関する規定に加え、借地借家法が適用され、特に借主保護の色彩が強い仕組みになっています。
期間満了時には、特別な事情がなければ更新されるのが原則であり、貸主から一方的に終了させるためには、「正当事由」が必要とされています。そのため、居住の安定や事業継続の安定を重視する借主に広く利用されている契約類型です。

これに対して、定期建物賃貸借契約は、借地借家法第38条に基づき、期間満了により更新なく終了することが法律上認められた契約です。有効に成立させるためには、公正証書などの書面で契約することに加え、事前に賃借人へ定期建物賃貸借である旨を記載した書面を交付して説明することなど、法律上の要件が定められています。このような手続的要件が守られない場合には、普通借家契約とみなされるおそれがあるとされています。
したがって、貸主・借主の双方とも、契約書や事前説明書面の内容を丁寧に確認することが重要です。

次に、これら2つの契約類型が用いられる典型的な場面について整理してみます。
普通借家契約は、長期的に同じ住まいに住み続けたい居住用や、安定した拠点で事業を継続したい場合などに選ばれることが多いです。一方、定期建物賃貸借契約は、一定期間だけの利用を予定している賃貸住宅や、将来の建替え計画がある建物、一定期間のみ利用したい事業用物件などで活用される例がみられます。
このように、契約期間の考え方や終了時期の見通しの違いが、実務上の使い分けにも直結している点が大きな特徴です。

項目 普通借家契約 定期建物賃貸借契約
契約期間の考え方 原則として更新前提 期間満了で確定終了
法律上の位置づけ 借地借家法の基本類型 借地借家法38条に基づく特則
典型的な利用場面 長期居住・長期事業利用 期間限定利用・建替え予定

更新と契約期間から見る賃貸契約の違い

まず、一般的な建物賃貸借契約(普通借家契約)では、契約期間が満了しても、貸主・借主のどちらからも更新しない旨の通知がなければ、同じ条件で契約が更新される仕組みになっています。
また、貸主が更新を拒絶したい場合でも、借地借家法28条に定められた「正当事由」がなければ更新拒絶は認められません。この正当事由は、貸主・借主それぞれの建物使用の必要性や、これまでの賃貸借の経過、建物の利用状況や立退料の有無などを総合的に判断して決められるとされています。そのため、普通借家契約では、借主の居住や事業の継続を手厚く保護する性格が強いといわれています。

一方、定期建物賃貸借契約(定期借家契約)では、あらかじめ定めた契約期間の満了によって、原則として自動的に賃貸借が終了することが大きな特徴です。この制度は、従来の普通借家契約では貸主からの更新拒絶が難しく、将来の建物活用計画を立てにくかったことから導入された経緯があります。定期借家契約を有効に成立させるためには、借地借家法38条に基づき、「更新がなく期間満了で終了する」旨を記載した書面で事前説明を行い、さらに契約書も書面で作成することが必要とされています。期間満了後も同じ建物を利用したい場合は、新たな契約として「再契約」を結ぶ形となり、この再契約は法律上の更新とは別のものとして位置付けられています。

このような更新ルールと契約期間の違いは、入居者と貸主の双方に異なるメリット・デメリットをもたらします。
普通借家契約では、期間の定めがあっても更新が前提となるため、借主は長期的に住み続けやすい反面、貸主は建替えや売却など将来の計画を柔軟に立てにくい側面があります。
これに対して定期借家契約では、貸主は契約期間をもとに建物の活用計画や資金計画を立てやすくなり、借主にとっても「いつまで利用できるか」が明確になる半面、原則として更新がなく、長期居住や長期利用を希望する場合には慎重な検討が求められます。
したがって、自分の希望する入居期間や将来の暮らし方・事業計画に合わせて、どちらの契約形態が適しているかを見極めることが重要です。


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項目 普通借家契約 定期建物賃貸借契約
契約期間満了時の扱い 原則更新継続 期間満了で終了
更新拒絶の要件 正当事由必要 原則不要
長期利用のしやすさ 借主に有利 期間限定で明確

中途解約・立退き・原状回復の取り扱いの違い

まず、普通の建物賃貸借契約では、契約期間途中の解約は、原則として契約で定めた期間を守ることが前提とされています。もっとも、実務では賃借人からの解約を認める特約を設け、例えば「解約予告から2か月後に契約終了」といった取り決めを置くのが一般的です。
一方で、そのような定めが無い場合には、賃借人からの一方的な中途解約はできないと解されており、期間満了や合意解約が原則となります。このため、賃借人が退去を検討する際には、契約書の解約条項と予告期間を必ず確認することが重要です。

これに対して、定期建物賃貸借契約は、期間満了で必ず終了する仕組みであるため、原則として中途解約はできないとされています。ただし、居住用で床面積が200㎡未満の建物については、賃借人にやむを得ない事情があるとき、借地借家法38条5項により、1か月以上前の通知で中途解約が認められる特例があります。この「やむを得ない事情」には、転勤や療養、親族の介護などが挙げられ、単なる気分や任意の引越しでは足りないとされています。
また、事業用の定期建物賃貸借ではこの特例が適用されないため、原則として期間満了まで賃料支払い義務が続く点に特に注意が必要です。契約が終了した後の明け渡しと原状回復については、普通借家・定期借家のいずれでも、基本的な考え方は共通しています。

賃借人は、通常の使用や経年変化による損耗まで原状回復する義務は負わず、故意・過失や注意義務違反によるキズや汚損などについてのみ負担するという考え方が、国土交通省のガイドラインで示されています。もっとも、定期建物賃貸借契約では、期間満了が明確であることから、原状回復工事の前提となる修繕計画や次の用途への転用があらかじめ決まっている場合が多く、退去日や工事時期を踏まえた細かな日程調整が行われる傾向があります。
いずれの契約形態でも、敷金精算と原状回復負担の範囲がトラブルになりやすいため、契約前に説明書面やガイドラインの考え方を踏まえて確認しておくことが大切です。



項目 普通建物賃貸借 定期建物賃貸借
中途解約の原則 特約なければ不可 原則期間満了まで
居住用での例外 解約予告特約による やむを得ない事情で解約可
原状回復の基本 故意過失部分を負担 故意過失部分を負担

自分に合う賃貸契約の選び方と確認すべきポイント

まずは、自分のライフプランや利用目的を整理したうえで、建物賃貸借契約と定期建物賃貸借契約のいずれが適しているか考えることが大切です。長期的に同じ場所に住み続けたいのか、転勤や進学などで数年程度の利用を想定しているのかによって、望ましい契約形態は変わります。国土交通省や不動産関連サイトでも、更新を前提とする普通借家契約と、期間満了で終了する定期借家契約の特徴を理解したうえで選択する必要性が指摘されています。
したがって、家賃だけで判断せず、「どのくらいの期間」「どのような使い方」をしたいのかを起点に検討することが重要です。

次に、契約前には契約内容を細かく確認し、特に期間や終了時の扱いについて、誤解がないようにしておくことが欠かせません。建物賃貸借契約では、契約期間と更新の有無、更新後の条件、解約予告期間、定期建物賃貸借契約ではさらに期間満了で終了することや再契約の可否などが重要な確認項目です。
また、定期建物賃貸借契約については、借地借家法第38条に基づき、契約締結前に賃貸人から「期間満了により契約が終了すること」を書面で説明することが成立要件とされています。このため、契約書とあわせて事前説明書面の内容にも必ず目を通し、自分の理解と相違がないかを慎重に確認することが大切です。さらに、不明点がある場合には、そのまま署名押印せず、遠慮なく質問し説明を求める姿勢が重要です。

定期建物賃貸借契約では、国土交通省が標準契約書や質問と回答集を公表しており、更新がないことや中途解約の考え方など、一般的なルールが示されていますので、参考として全体像を把握しておくと理解が深まります。
また、契約書や重要事項説明書の内容に不安がある場合には、消費生活センターや弁護士などの専門家に相談する方法もあります。
このように、複数の情報源を活用しながら内容を確認することで、自分にとって納得できる賃貸契約を選びやすくなります。

確認項目 建物賃貸借契約 定期建物賃貸借契約
契約期間と更新 更新前提の期間設定 更新なし期間満了終了
中途解約の扱い 解約予告期間の定め 原則期間途中終了困難
説明書面の有無 重要事項説明書面 事前説明書面の交付

まとめ

建物賃貸借契約と定期建物賃貸借契約は、契約期間や更新の有無、途中解約の扱いなどに明確な違いがあります。
普通の建物賃貸借契約は更新が前提で、入居者の居住や事業を長く守りやすい一方、貸主は正当事由がないと終了させにくい契約です。定期建物賃貸借契約は期間満了で確実に終了するため、貸主は将来の予定を立てやすく、入居者も最初から住める期間がはっきりします。
どちらの場合も、契約期間、更新や再契約の有無、中途解約の条件、原状回復の内容を事前にしっかり確認することが大切です。
不明点は自己判断せず、専門家の説明を受けてから契約するようにしましょう。




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