
店舗・事務所を借りている方へ! インボイス制度で何が変わる?
お店・事務所を借りている方へ。
インボイス制度で何が変わる?
- 住居として部屋を借りているだけの方には関係ありません。対象はお店・事務所・駐車場などを借りている事業者の方です。
- 大家さんが「インボイスを発行できるか」によって、借主が納める消費税の額が変わる可能性があります。
- 大家さんがインボイスを発行できなくても、今すぐ全額自己負担になるわけではなく、しばらくは一部を控除できる猶予期間があります。
- 2026年10月からはこの猶予(控除できる割合)が80%→70%に少しだけ縮小し、その後も2031年9月にかけて段階的に減っていきます。
01インボイス制度って、そもそも何?
事業をしている方は、お客さまから受け取った消費税から、自分が仕入れや経費で支払った消費税を差し引いて、残りを国に納めています。この「差し引く」ことを仕入税額控除と呼びます。たとえば売上にかかった消費税が10万円、経費で支払った消費税が3万円であれば、差し引いた7万円だけを納税すればよい、という仕組みです。
2023年10月から、この控除を受けるためには「インボイス(適格請求書)」という決まった形式の書類を保存しておくことが必要になりました。取引先が発行する請求書や領収書が、このインボイスの形式を満たしていないと、原則としてその分の消費税を控除できません。
これは家賃についても同じです。店舗や事務所を借りて事業をしている場合、毎月の家賃にも消費税が含まれています。大家さんが「適格請求書発行事業者」として登録し、インボイスを発行できれば、これまで通りその消費税分を控除できます。反対に、大家さんが登録していない「免税事業者」のままだと、家賃にかかる消費税分を控除できなくなってしまうのです。
レシートの代わりに「正式な領収書」が必要になったイメージです。正式な領収書(インボイス)がないと、その分の消費税を経費として認めてもらえない、というルールです。同じ1万円の買い物でも、発行元によって「経費として満額認められる場合」と「一部しか認められない場合」がある、と考えるとイメージしやすいかもしれません。
なお、この制度で影響が出るのはあくまで「消費税の申告をしている事業者」の話です。消費税を納める義務のない方や、住居として部屋を借りているだけの方には直接関係がありません。次の章で、自分が対象かどうかをチェックしてみましょう。
02まずは、自分に関係あるか確認しましょう
- 店舗・事務所・駐車場など、事業のために部屋やスペースを借りている
- 自分(自社)は消費税を納める「課税事業者」である
- 確定申告や決算で、消費税の仕入税額控除を行っている
この3つに当てはまる方は、大家さんがインボイスを発行できるかどうかで、ご自身の納税額が変わってくる可能性があります。逆に、住居として部屋を借りている方や、免税事業者(消費税を納めていない方)は、この制度の影響を受けません。
具体的には、飲食店や美容室、士業事務所、学習塾、コインパーキングを運営している方など、店舗・事務所・駐車場を借りて事業を行っている方の多くが対象になります。一方で、副業程度の小規模な事業で消費税の納税義務がない方(免税事業者)は、そもそも仕入税額控除という仕組み自体を使わないため、この制度の影響を受けません。ご自身が課税事業者かどうか分からない場合は、直近の確定申告書や、顧問税理士に確認するのが確実です。
また、同じ物件でも「住居部分」と「店舗部分」が混在している併用住宅のような場合は、事業に使っている部分の家賃だけが対象になります。契約書で用途が分かれている場合は、その内訳も確認しておくとよいでしょう。
03大家さんが「インボイスを発行できるか」で何が違う?
大家さんがインボイスを発行できる場合
家賃にかかる消費税を、これまで通りしっかり控除できます。契約内容や家賃額を変える必要はなく、安心して契約を続けられます。管理会社が発行する家賃の請求書や領収書に、インボイスとしての登録番号(T+13桁の数字)が記載されていれば、この対応が取れていると判断できます。
大家さんがインボイスを発行できない場合(免税事業者のまま)
家賃にかかる消費税の一部、または全部を控除できず、実質的な負担が増えることがあります。ただし急にゼロになるわけではなく、下の章で説明する「経過措置」により、しばらくの間は一部だけ控除が認められています。
なぜこのような差が生まれるかというと、そもそも免税事業者は消費税を納めていないため、正式なインボイスを発行する資格自体がないからです。大家さんが個人オーナーで、家賃収入がそれほど多くない場合には、免税事業者のままにしているケースも少なくありません。借主側から見ると「大家さんの事業者区分によって、自分の税負担が左右される」という点がこの制度の分かりにくさの原因になっています。
04【2026年最新】いつから、どのくらい変わるの?
大家さんがインボイスを発行できない場合でも、しばらくの間は消費税の一部を控除できる「経過措置」という猶予期間があります。この猶予期間が2026年度の税制改正で見直され、2031年9月まで、段階的に少しずつ控除できる割合が減っていく形になりました。
もともとは「2026年10月に80%から一気に50%へ下がる」という予定でしたが、これでは事業者の負担が急に増えすぎるという懸念から、下げ幅がゆるやかになりました。具体的には、80%の次にいきなり50%にするのではなく、間に「70%」という段階を新しく設け、その後も50%、30%と少しずつ減らしていく形に変更されています。あわせて、猶予期間そのものも2029年9月までの予定から2031年9月までに2年間延長されました。
9月
2028年9月
2030年9月
2031年9月
10月〜
月20万円(消費税込み)の家賃を払っている場合、消費税相当額は約1.8万円です。今は80%の約1.4万円を控除できますが、2026年10月からは70%の約1.3万円に、控除できる額が少しずつ減っていきます。差額は月あたり1,000円台とごくわずかですが、年間では1万円を超える負担増になります。
月50万円(消費税込み)の事務所を借りている場合、消費税相当額は約4.5万円です。控除できる割合が80%から30%まで下がった2030年10月以降は、控除できる額が約3.6万円から約1.4万円まで減り、年間で見ると数十万円規模の負担増になる可能性があります。家賃の高い物件ほど、この変化の影響が大きくなる点は覚えておきましょう。
つまり「今すぐ大きく変わる」わけではありませんが、2026年10月・2028年10月・2030年10月のタイミングで段階的に負担が増えていくと覚えておくと安心です。なお、大家さんが免税事業者からの仕入れとして年間1億円を超える取引を持つような大規模なケースでは、超えた部分に経過措置が適用されないルールも設けられていますが、一般的な店舗・事務所の賃貸ではこの上限にかかることはほとんどありません。
05今のうちにできること
- 今借りている物件の大家さんが「適格請求書発行事業者」かどうかを確認する
- これから物件を借りる場合は、インボイス対応の有無も比較ポイントに入れる
- 大家さんが免税事業者の場合、家賃の相談ができないか早めに聞いてみる
- 顧問税理士がいる場合は、自社の控除額への影響を一度確認しておく
「まだ先の話」と思わず、契約更新や物件探しのタイミングで一度確認しておくと、あとで慌てずに済みます。特に、2年ごとなど定期的な契約更新がある場合は、更新のタイミングが確認のよい機会になります。
大家さんに相談する際は、いきなり「値下げしてください」と伝えるより、「インボイス制度の関係で、家賃に含まれる消費税の控除額が変わると聞いたのですが、登録状況を教えていただけますか」といった聞き方から始めると、角が立ちにくくスムーズです。大家さんの側も対応を検討している最中であることが多いため、まずは状況を共有し合うところから始めるのがおすすめです。
これから新しく物件を探す場合は、内見や問い合わせの際に「インボイス登録済みかどうか」を確認項目のひとつに加えておくと、契約後に慌てずに済みます。当社が管理する物件については、担当スタッフが登録状況をまとめてご案内することも可能です。
06よくある質問
Q住居として部屋を借りているだけでも関係ありますか?
Q大家さんが免税事業者だと、もう契約できないのですか?
Q2026年10月にすぐ大きく負担が増えますか?
Q大家さんがインボイスに対応しているか、どう確認すればいいですか?
Q個人事業主でも関係ありますか?会社員なら関係ありませんか?
Q大家さんに直接聞きにくいのですが、どうすればいいですか?
最後までお読みいただき
ありがとうございます
不動産のことなら、リノベスト不動産にお気軽にご相談ください。


