鉄骨鉄筋コンクリート構造の建物の魅力は?耐震性や資産価値についても解説

鉄骨鉄筋コンクリート構造の建物の魅力は?耐震性や資産価値についても解説

建物の構造が鉄骨鉄筋コンクリートの場合、他の構造と比べてどのような違いがあるのか気になるでしょう。
耐震性や防音性など、多くのメリットがある一方で、コストや間取りの自由度には注意が必要です。
本記事では、鉄骨鉄筋コンクリート造の特徴や他構造との比較、向いている方について解説いたします。
安心してマイホーム選びをしたい方は、ぜひご参考になさってくださいね。

鉄骨鉄筋コンクリート構造のメリット

鉄骨鉄筋コンクリート構造のメリット

マイホーム選びで最初に注目すべきは、建物の構造です。
まずは、鉄骨鉄筋コンクリート構造のメリットや安全性について解説していきます。

耐震・耐火比較

鉄骨鉄筋コンクリート構造は、鉄骨の周りをコンクリートが一体となって包む構造です。
そのため、鉄の粘り強さとコンクリートの圧縮に強い性質を同時に発揮し、大きな地震でも建物のゆがみを小さく抑えられます。
統計データでは、同じ柱サイズでも鉄筋コンクリート造より曲げに強く、剛性は約1.5倍です。
震度6強でも、被害が軽いケースが多く報告されています。

長寿命とコスト減

鉄骨鉄筋コンクリート構造は、鉄骨を厚いコンクリートで包むため錆びにくく、計画耐用年数は約75〜90年と鉄筋コンクリート構造の約60年より長いといわれます。
コンクリートを十分な厚さでかぶせれば、中性化が進みにくく、部材交換の頻度も減らせるのがポイントです。
そのため、12年ごとの大規模修繕でも、足場や外壁補修を含めて専有1㎡あたり8,000〜9,000円程度で済むことが多く、鉄筋コンクリート構造より約1,000円安くなるケースがあります。
柱や梁がスリムで荷重が分散するので、タイルのひび割れが少なく、シーリングの更新面積が抑えられる点もメリットです。
長寿命で維持費も抑えられることから、中古価格も下がりにくく、築20年でも鉄筋コンクリート構造より平均7〜9%高い価格で取引されています。

安心感と資産価値

高さ60mを超えるタワーマンションの約7割が、鉄骨鉄筋コンクリート構造を採用しています。
剛性の高い骨組みが風による揺れを抑えるので、上層階でも「船酔い」のような不快感が起こりにくいと好評です。
また、床や壁の厚みが200㎜以上確保しやすく、重量床衝撃音LL45等級も達成しやすいため、楽器演奏や在宅ワークでも音のストレスが少ない住環境を実現できます。
さらに、柱と柱の間隔を約8mまで広げられるので梁を低く抑えられ、天井高2.6m超の開放感は資産価値アップにも貢献します。

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鉄骨鉄筋コンクリート構造のデメリット

鉄骨鉄筋コンクリート構造のデメリット

前章では、鉄骨鉄筋コンクリート構造のメリットについて述べましたが、デメリットも気になるでしょう。
ここでは、コストや防音、室内環境の注意点について解説いたします。

コストと土地条件

鉄骨鉄筋コンクリート構造の建築費は、全国平均で坪単価約188万円とされ、鉄筋コンクリート構造の約122万円より約5割高めで、初期投資が重くのしかかります。
くわえて、建物の重さが鉄筋コンクリート構造より約1.2倍あるため杭を深く打つ必要があり、軟弱地盤では基礎工事費が数千万円単位で増えることもあります。
費用を抑えるには、地盤データを詳しく調べて、過剰な杭仕様になっていないか専門家と確認することが大切です。
さらに、管理組合が将来の負担を見誤ると修繕積立金が不足し、追加徴収の恐れがあるので、購入前に長期修繕計画をチェックしましょう。

断熱性と結露問題

鉄骨がコンクリートを貫く部分に熱橋(ヒートブリッジ)ができやすく、コンクリート自体も木材の約8倍熱を通すため、冬は表面温度が下がり結露が起きやすい傾向にあります。
外断熱と発泡系の内断熱を併用すると、改善しますが、性能を保つには30年ごとに断熱材の状態を点検し、劣化していれば補修が必要です。
一方、夏はコンクリートが熱を溜め込む「熱だまり現象」で室温が下がりにくく、年間の冷房費が鉄筋コンクリート構造より5〜10%高いという調査結果もあります。
遮熱フィルムや外付けブラインドで緩和できますが、景観規制や管理規約が障壁になる場合もあるので、導入の可否を事前に確認しましょう。

防音性とリフォーム

厚さ200㎜を超える構造壁は、LL45等級の防音性能を発揮しますが、耐力壁でもあるため気軽に撤去できず、間取り変更の自由度は限られます。
水回りを移す際は床スラブに穴を開けて配管を通し、耐火被覆をやり直す必要があり、1か所につき約30万円の追加費用がかかります。
実際に、2LDKを1LDKへ変更した例では、壁撤去と鉄骨補強で工事費が約400万円を超え、躯体のコストの大きさが明らかになりました。
また、遮音性を保つために床仕上げ材を厚くすると段差ができ、バリアフリー化の障害になることもあります。
ただし、上下階の生活音トラブルは少ないので、子育て世帯や在宅収録をおこなう方には大きな魅力となります。

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鉄骨鉄筋コンクリート構造がおすすめの方

 鉄骨鉄筋コンクリート構造がおすすめの方

鉄骨鉄筋コンクリートの建物は、とにかく「安全」で「高層階」に住みたいという方には最適ですが、コストを抑えて「自由にリフォーム」したいという方にはあまり向いていません。
ご自身の「譲れない条件」は何かを明確にすることで、鉄骨鉄筋コンクリート構造が自分にとって最高の選択肢となるか、あるいは他の構造が良いのかが見えてくるでしょう。

家族・高層志向

地震や火災に強い鉄骨鉄筋コンクリート構造は、安全性を最優先したい子育て世帯にぴったりです。
夜中に揺れが来ても被害を抑えやすく、火災時も避難時間に余裕ができます。
また、上層階でも風揺れが少ないため、高層志向の単身者やDINKS(共働き子なし世帯)も快適な眺望を楽しみやすく、タワーマンションの魅力を活かせます。
さらに、ZEH認定物件であれば一次エネルギーの削減と税制優遇が同時に得られるので、環境と家計の両方にやさしい住まいを求める方にも向いているでしょう。

コストや間取り重視

一方で、初期費用をできるだけ抑えたい方やDIY(自分でおこなう改修)で自由に間取りを変えたい方には、鉄骨鉄筋コンクリート構造はやや不向きです。
耐力壁を簡単に外せないため、大きなレイアウト変更が難しく、家族構成の変化に合わせて間取りを大幅に変えると追加費用がかさみます。
また、築年数が経った鉄骨鉄筋コンクリート構造マンションをスケルトンリフォームしようとしても、構造壁の制約で希望プランが実現しにくく、設計変更に時間もお金も必要になることがあります。
断熱改修に思った以上の費用がかかるケースもあり、転勤で短期居住を予定している方や投資志向の購入者には、コスト回収が難しい点がデメリットでしょう。

立地・生活別の判断

液状化リスクの高い湾岸エリアでは、杭工事費や修繕積立金が膨らむため、毎月の固定費が増えても家計が耐えられるかが大事なポイントです。
一方、準防火地域や家が密集した市街地では鉄骨鉄筋コンクリート構造の耐火性能が評価され、火災保険料が下がって木造より総コストが安くなる場合もあります。
立地を選ぶ際は、地震・火災リスクだけでなく、交通の便利さや再開発計画など、資産価値の伸びしろも一緒に確認して決めましょう。
安全性と長期居住の意思、リフォーム計画と予算制約、それに地盤条件の5項目をチェックし、3つ以上が優先なら鉄骨鉄筋コンクリート構造を前向きに検討する価値があります。
反対に、短期間で住み替える予定がある方や、室内を頻繁に改装したい方は、より軽く改修しやすい構造を選ぶ方法が向いています。

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まとめ

鉄骨鉄筋コンクリート構造は、鉄とコンクリートの相乗効果で耐震・耐火性が高く、長寿命で資産価値が維持しやすいため、保険料や金利の優遇も期待できる構造です。
一方で、建築費は鉄筋コンクリート構造より約5割高く、断熱やリフォームの制約もあるため、地盤条件や将来の修繕コストを事前に精査する必要があります。
安全性と眺望を重視する家族や高層志向の方には向いていますが、費用や間取りの自由度を優先する方は他構造を検討したほうが良いでしょう。

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