
残置物とは?設備と残置物の違いについて、故障したときの対処法について
この記事の結論
残置物とは、前の借主が退去時に処分せず室内に残していった物品のことです。貸主が設置・維持管理する「設備」とは異なり、残置物は原則として貸主に修理義務がなく、故障しても借主負担での対応となるケースが一般的です。この違いを知らないまま契約すると、開業直後にエアコンや厨房機器が壊れて予想外の出費が発生することも。契約前に「設備表」と「残置物一覧」を必ず確認し、どちらの扱いになっているかを一つひとつ照らし合わせておくことが、開業後のトラブルを防ぐ一番の近道です。
1. 残置物とは何か
残置物とは、前の借主(前テナント)が退去する際に処分・撤去せず、そのまま室内に残していった物品のことです。エアコンや照明器具、厨房機器、什器、棚、看板など、内容はさまざまです。
「残置物」という言葉は法律で厳密に定義された用語ではなく、賃貸借契約書の中で貸主・借主の間で個別に取り決められる契約上の用語です。そのため物件ごと、契約書ごとに扱いが異なる点に注意が必要です。
初めて開業する方がつまずきやすいのは、「部屋にある設備っぽいもの」がすべて貸主管理の設備だと思い込んでしまうことです。残置物は多くの場合、貸主の所有物でも借主の所有物でもなく、前の使用者が置いていった物を「現状のまま無償で使わせてもらっている」という位置づけになります。この前提を知っておくだけで、契約書の読み方が大きく変わります。
2. 設備と残置物の違い
テナント契約で特に重要なのが「設備」と「残置物」の違いです。見た目では区別がつかないことも多いため、必ず契約書の記載内容で確認する必要があります。
| 項目 | 設備 | 残置物 |
|---|---|---|
| 定義 | 貸主が物件の価値を維持するために設置・管理している設備 | 前の借主が退去時に残していった私物 |
| 所有者 | 貸主(オーナー) | 明確でないことが多い(前借主の置き土産という扱い) |
| 契約書上の記載 | 「設備表」に品目・数量が明記される | 「残置物一覧」や特約条項に明記される |
| 故障時の修理義務 | 原則として貸主が修理・交換の義務を負う | 原則として貸主に修理義務はなく、借主負担になりやすい |
| 退去時の扱い | 借主が壊すなど過失がない限りそのまま残す | 契約内容により、借主負担での撤去を求められる場合がある |
※上表は一般的な傾向を示す目安です。実際の扱いは契約書ごとに異なるため、個別の契約内容を必ず確認してください。
ポイントは、「その物が設備表に載っているか、残置物一覧に載っているか」で扱いがまったく変わるということです。同じエアコンでも、設備として契約されていれば故障時は貸主負担で直してもらえますが、残置物として引き渡されていれば借主が修理費用や交換費用を負担することになるのが一般的です。
3. 残置物が生まれる背景とよくある具体例
残置物は、主に「居抜き物件」で発生します。前のテナントが撤退する際、内装や設備をすべて解体・撤去する「スケルトン戻し」を行わず、造作や機器をそのまま残して退去するケースです。次の借主にとっては初期費用を抑えられるメリットがある一方、それらは前借主の置き土産にすぎず、貸主が管理する設備ではないという点に注意が必要です。
残置物としてよく見られるものには、次のようなものがあります。
- 業務用エアコン・空調設備
- 厨房機器(冷蔵庫、コンロ、換気フードなど)
- 照明器具、看板、シャッター
- 什器、棚、カウンターなどの造作物
- レジ台や配線設備の一部
これらは前のテナントの営業年数や使用状況によって劣化の程度もさまざまです。「そこにあるから使えて当然」ではなく、いつ壊れてもおかしくない中古品として捉えておくことが大切です。
4. 残置物が故障・不具合を起こしたときの対処法
実際に開業してから残置物が故障した場合、どう動けばよいのでしょうか。基本の流れは次の4ステップです。
残置物が故障したときの対応フロー
「残置物」かをまず特定
まずは状況を報告
基本、費用や方法を協議
メールなど記録が残る形で確認
特に注意したいのは、設備だと思い込んで貸主に修理を依頼したものの、実は残置物だったため対応してもらえなかった、というケースです。逆に、残置物だからと自己判断で交換・処分してしまい、後から「実は設備だった」と発覚してトラブルになることもあります。故障に気づいたら、まず契約書を確認し、それでも判断がつかない場合は速やかに貸主・管理会社へ問い合わせることをおすすめします。
5. 契約前に確認しておきたいポイント
これから開業される方、テナントを借りる方は、次の項目を契約前に確認しておきましょう。
残置物とあわせて確認しておきたい項目
- 設備表と残置物一覧で、室内の設備・什器の区分が明記されているか
- 残置物の故障時は借主負担になると明記されていないか
- 残置物一覧と室内の現況が一致しているか(写真などで記録しておく)
- 退去時に残置物の処分費用は誰が負担するか
- 設備表・残置物一覧に記載のない物があった場合の問い合わせ先
特に居抜き物件では、設備表や残置物一覧の整備が不十分なまま契約が進んでしまうケースも見られます。少しでも不明な点があれば、契約前に不動産会社へ確認し、書面で明確にしておくことがトラブル防止の鍵になります。
6. よくある質問(FAQ)
残置物は必ず使わないといけませんか?
残置物が故障した場合、修理費用は誰が負担しますか?
設備と残置物の違いは契約書のどこを見ればわかりますか?
居抜き物件の残置物は入居後もそのまま使い続けられますか?
退去時に残置物はどうすればいいですか?
7. まとめ
残置物とは、前の借主が退去時に残していった物品であり、貸主が維持管理する「設備」とは扱いが異なります。故障・不具合が起きた際は、原則として借主負担での対応となるケースが多いため、「設備なのか残置物なのか」を契約前にしっかり見極めておくことが重要です。
設備表と残置物一覧を照らし合わせ、記載のない物や不明な点があれば、契約前に必ず不動産会社へ質問しましょう。開業してから「こんなはずでは」とならないよう、早めの確認をおすすめします。
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