壁の中に収納する引き戸について!使い方の違いも解説

壁の中に収納する引き戸について!使い方の違いも解説

住まいの利便性や空間の活用方法を考える際、扉の種類に注目することは、意外と見落とせないポイントです。
なかでも、壁の中に戸が収まる戸袋式の引き戸は、開閉スペースを取らず動線がすっきりする点で人気があります。
一方で、引き戸には開き戸にはない独自のメリットや注意点があり、使い方によって向き不向きもあるでしょう。
この記事では、マイホームの設計に悩んでいる方に向けて、引き戸と開き戸の違いをはじめ、戸袋式引き戸の特徴や選ぶ際のポイントを詳しく解説いたします。

引き戸と開き戸の基本的な違い

引き戸と開き戸の基本的な違い

住宅の扉には、大きく分けて「引き戸」と「開き戸」があります。
扉を左右に滑らせて開閉する「引き戸」には、以下のような特徴があります。

省スペースで動線を妨げない

引き戸は、扉を左右に滑らせて開閉します。
扉が前後に動かないため、廊下や洗面所など限られたスペースでも人の通行や家具の配置を妨げません。
車椅子を利用する場合や、介助が必要な場面でもスムーズな動線を確保できます。

開閉時の安全性が高い

扉の軌道が一目で分かり、開閉時に向こう側にいる人とぶつかるリスクを抑えられます。
また、風にあおられて急に閉まることもなく、軽い力で開閉できるため、小さなお子様や高齢者でも扱いやすいのが特徴です。
なお、近年はソフトクローズ機構を備えた製品も増え、指挟み事故を防ぎやすくなっているでしょう。

空間を柔軟に使える

扉を開け放しておくことで、二つの部屋を一体化させて広く使うことができます。
普段は仕切りつつ、来客時などには開放してリビングを広く見せる、といった使い方も可能です。

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戸袋式引き戸のメリット

戸袋式引き戸のメリット

マイホームのリフォームを計画する際、住まいの使い勝手を左右するのが扉の選定です。
引き戸の中でも、扉を壁の中にすっきりと収納する「戸袋式」は、その納まりの良さから多くのメリットが生まれます。
以下では、戸袋式引き戸の具体的なメリットについて、3つの視点から詳しくご紹介いたします。

壁面を有効活用でき、物が置ける

扉が壁の中に隠れるため、扉の軌道上(壁の前面)を有効活用できます。
開き戸や、壁の外側に扉がスライドする「アウトセット式引き戸」では置けなかった場所に、ソファや収納家具などをぴったりと配置できます。
扉を開け放った状態でも扉の姿が見えず、見た目がすっきりして室内が広く感じられるでしょう。
収納家具を壁面に連続して並べても干渉しにくく、限られた床面積を有効活用することが可能です。
結果として、床に物が出にくくなり、掃除の手間も軽減されます。
くわえて、自転車やベビーカーなど高さのある物も室内に置きやすく、防犯面で屋外保管が不安な家庭に重宝します。

開口部が広く、動線がスムーズ

扉の開閉に前後のスペースが不要なため、廊下に面したトイレや洗面所でも通行を妨げません。
そのため、開き戸で制限されていた家具や収納の配置が自由になり、インテリアの選択肢が広がるでしょう。
また、複数の扉が隣接する間取りでも互いに干渉せず、動線計画に余裕が生まれるため、居住空間の自由度が高くなります。
マンションのように限られた専有面積では、数十センチの削減が体感的な広さに直結し、照明や採光計画も立てやすくなるでしょう。
さらに、ドアの開閉音が響きにくい点も、通話が多い在宅ワークに従事している方にとっては好ましいポイントです。

「上吊り式」ならバリアフリーで掃除も楽

上部のレールから扉を吊るす「上吊り式(吊り戸)」タイプを選べば、床にレールが不要になります。
床に段差ができないため、つまずく心配がなく、小さなお子様や高齢者がいるバリアフリー住宅に最適です。
床の溝にホコリや髪の毛が溜まることがなく、掃除の手間が大幅に軽減されます。ロボット掃除機の走行もスムーズです。
扉の重量が上部に集中するため下地強化は必要ですが、開閉が軽く音も静かで、夜間の生活音が気になる家庭にも向いています。
一方で、長尺扉はたわみやすく、支持金具の選定とメンテナンスが重要です。
なお、マンションの置床構造では床レールの固定が難しい場合があるため、吊り下げ式の方が施工の自由度が高まります。

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戸袋式引き戸のデメリット

戸袋式引き戸のデメリット

見た目がすっきりしてメリットの多い戸袋式引き戸ですが、その構造ゆえのデメリットも存在します。
しかし、その反面でいくつかのデメリットもあるため、導入前に理解しておくことが大切です。

コストが比較的高め

引き戸は、レールや戸車などの部品点数が多く、開き戸に比べて工事費が高くなる傾向があります。
とくに、壁の内部に戸袋を造作する工事は、壁の解体や下地補強、内装仕上げ(クロス貼り替えなど)が必要になるため、費用がかさみます。

●費用の目安(リフォームの場合): 30万~35万円前後
●比較(アウトセット式引き戸): 10万~25万円前後


工期も開き戸より長くなりやすいため、メーカーごとの工法や保証内容も比較して検討しましょう。
なお、必要な性能値を満たすかどうかは設計段階で十分に検討することが重要です。
近年では、上枠に磁力で密閉するハイブリッド型も開発され、冷暖房効率を約1割改善したという試験結果も報告されています。

家具の配置が制限される

前章にて、メリットとして「物が置ける」ことを挙げましたが、それはあくまで「扉の軌道上」の話です。
扉が収納される「戸袋」部分の壁には、構造上、コンセントやスイッチ、壁掛けテレビの取り付け金具などを設置できません。
リフォーム時には、家具の配置計画と合わせて、配線計画もシミュレーションしておく必要があります。

気密性・遮音性が劣りやすい

構造上、扉と壁の間に隙間ができやすく、開き戸に比べて気密性や遮音性が劣る傾向があります。
そのため、冷暖房の効率が低下したり、リビングのテレビの音や話し声が寝室に漏れたりすることがありますので、同居人のストレスをためてしまうことにつながりかねません。
気密性を高めるパッキン付きの製品や、気密パネルを併用する方法もありますが、追加コストがかかる点は考慮しなければなりません。
近年では、閉まる際に磁石の力で扉を枠に密着させ、気密性を高めた製品も開発されていますので、検討すると良いでしょう。

レールの掃除に手間がかかる(床レールの場合)

床にレールを設置するタイプの場合、溝にホコリや髪の毛が溜まりやすく、放置すると戸車の動きが悪くなる原因になります。
掃除機の細口ノズルやブラシで定期的に清掃する手間がかかることを理解しておきましょう。
このデメリットは、先述の「上吊り式」を選ぶことで解消できます。

戸袋内部の掃除が難しい

戸袋の内部は手が届きにくく、ホコリが溜まっても確認や掃除が難しいという欠点があります。
掃除ができないまま長期間放置してしまうと、開閉不良につながったり、虫の温床になったりする可能性もゼロではありません。
対策として、扉本体を取り外してメンテナンスできる仕様や、点検口付きの製品を選ぶと、いざという時に安心です。

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まとめ

戸袋式引き戸は、開閉スペースを取らず、限られた空間を効率よく使える利便性の高い建具です。
その一方で、気密性の低さやコスト、メンテナンス性など、考慮すべき点も存在します。
開き戸との違いやご自身のライフスタイル、家具のレイアウトなどを総合的に比較検討し、住まいに最適な扉を選びましょう。
本記事が読者のみなさまの、理想の住まい設計の参考となれば幸いです。

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